延焼シミュレーションによる火災危険度の評価 
〜震災に強いまちづくりを支援〜

 わが国は世界でも有数の地震大国であり、常に震災の危険を抱えている。阪神大震災や昨年発生した大地震では極めて深刻な震災を発生させた。こうした中で「震災に強いまちづくり」の実現は急務を要している。ここでは「震災に強いまちづくり」を支援するため、空間情報コンサルタント技術とGISを活用した火災危険度の評価と実用的な延焼火災のシミュレーションを紹介する。

◆ 火災危険度の評価 ◆
 火災による危険は木造住宅密集地域の延焼火災の発生であり、火災の範囲が延焼拡大するに伴い人体に影響する輻射熱も増大・拡大する。このため、火災の危険性を評価し、延焼火災による危険な地区を見極める必要がある。つまり、隣接する延焼限界距離が、重なる場合に延焼火災が発生する。そして、連担する火災家屋(火災クラスター)数が多くなるほど火災の危険度が増すことになる。
 震災に強いまちづくりの柱は、”延焼遮断地帯の整備”、”緊急輸送道路の安全性の確保”、”避難場所の確保”、”木造住宅密集地域の不燃化”である。火災クラスターは、マクロで見るとこうした整備の必要な地域が、明確に浮き出されてくる

◆ 輻射熱モデル ◆
 形態係数(立体角投射率)とは、ある面(点)から対象となる面(点)の見える割合をいう。形態係数は、熱や光のエネルギーに関係なく、それらの間の相対的な位置関係と形態によって定まる。この形態係数(立体角投射率)の考えをもとづいて、火災面からの輻射放射熱が人体に安全な輻射熱となる受熱点までの距離を求める。輻射熱モデルは、図Aのようになる。
図A 輻射熱モデル
 
 また、火災域前面に、耐火建物や樹林帯がある場合の輻射熱遮蔽効果のモデルは、図Bのようになる。以上により、延焼火災から安全となる必要前面距離が求まる。  
図B 輻射熱遮蔽モデル
 

◆ 火災延焼シミュレーション ◆
 故浜田理論(東京理科大学)による延焼限界距離をもとにして火災が延焼拡大する様子を追跡した火災延焼シミュレーションを開発した。 これにより、沿線の不燃化による延焼遮断地帯の整備や木造住宅密集地域の不燃化などによる延焼防止効果を具体的に知ることができる。 

◆ 火災延焼シミュレーションの活用 ◆
 この火災延焼シミュレーションを活用することにより、「震災に強いまちづくり」実現のための以下の検討が可能となます。

○延焼遮断地帯の整備と効果

○緊急輸送道路の安全性の確認

○避難場所の安全性の評価

○木造住宅密集地域の不燃化の効果









◆ 実施事例 ◆
 これらの空間情報コンサルタント技術を「東京都避難場所見直し調査」に活用して、実施しました。