将来の災害に対して、最大限の備えを。
1995年の阪神淡路大震災に震度7が観測されてから、日本は相次ぐ大地震に見舞われています。
そうした中、首都直下型地震や南海・東南海トラフ地震の発生も、今や切迫した状況と言われています。さらに近年では豪雨災害や、それに伴う土砂災害、また感染対策等複合的な災害を想定して事前に備えていかなければなりません。
弊社は、社会資本整備に携わるコンサルタントとして、防災・減災に努め、国民が安全かつ安心して生活できる環境づくりを実現するため、有事に備えた調査や計画をご提案してまいります。また、各発注者様と災害協定を締結することにより、災害からの迅速な復旧・復興もご支援してまいります。
調査
避難場所検討
弊社では、震災時火災から、生命を守るため、広域避難場所や避難圏域、避難道路の検討業務を、空間情報コンサルタント技術を活用して、東京都(特別区)をはじめとして政令指定都市などで行ってきました。
避難場所及び避難道路の検討に、弊社のGIS技術を役立て、ある地区ではどのくらいの方がお住まいなのか、またある地区ではどのくらい不燃化率が進んでいるのかなどを勘案し、調査を行っています。
また火災の燃え広がり方をシミュレートする火災延焼シミュレーションでは、「延焼遮断地帯の整備と効果」「緊急輸送道路の安全性の確認」「避難場所の安全性の評価」「木造住宅密集地域の不燃化の効果」にも活用しています。
【避難計画フロー】
災害リスク評価に基づく防災まちづくりの展開としては、地域レベルで「立地適正化計画における防災指針の策定」や避難地周辺や避難路沿道における防火規制強化や延焼遮断帯形成を目的とした「都市計画の見直し」、地区レベルで「都市防災不燃化促進」や「密集市街地の整備改善」等が想定されます。
それらの防災まちづくりの支援については、災害リスク評価等を担当している地理空間情報部と、都市計画・市街地整備を担当しているまちづくり技術部が連携することで、地域ニーズや事業の目的に応じて柔軟に取り組んでいます。

【輻射熱シミュレーション(浜田理論)】
学校施設等における受変電設備の浸水対策検討調査
近年、気候変動に伴う水害が全国的に頻発化・激甚化し、令和元年東日本台風では関東地域でも浸水被害が多数発生しました。災害時には学校をはじめとした公共施設が地域の避難所や避難場所としての役割を担うため、施設の電源確保に関わる発電設備や受変電設備などを浸水被害から守ることが地域防災上重要です。しかし、これらの設備に対して実際に浸水対策が行われている施設はまだ限られています。
弊社では、ある市の市立学校に設置されている受変電設備を対象に、ハザードマップデータと設備の現況調査を組み合わせて、浸水リスクの可視化、想定浸水深と設備の設置状況に応じた浸水対策のご提案を行いました。浸水が想定される設備を網羅的に調査することで、自治体としての対策の方向性や優先度を検討することが可能となります。

【設備位置とハザードマップの重ね合わせ】

【受変電設備の浸水リスクの可視化】
計画
防災計画
近年激甚化する自然災害に対して、地方自治体では地域防災計画に基づいた対応が求められています。しかし、社会状況や生活環境は流動的で、ひとたび大きな災害が発生し国の方針や上位計画が修正されると、地方自治体でも計画の見直しを迫られることになります。限られた人員で多くの業務を抱える地方自治体では、なかなか手が回らず、対応が遅れてしまうことも十分に考えられます。
弊社では常日頃から防災及び減災対策等に係る調査や、住環境改善等の市街地整備に取組んでおりますので、状況の変化や最新の法改正に基づき、地域の実情に合わせた防災計画策定・改訂の技術支援が可能です。
具体的な支援内容
- 国土強靭化地域計画の策定
- 受援計画の策定
- 立地適正化計画の改訂
- 地域防災計画の改訂 等
- 事前復興まちづくり計画の策定
【液状化メッシュデータ】
【浸水想定区域図】
https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/bousai/bosai/bosai/yobo/bosainavi.html【ふじさわ防災ナビ(藤沢市ホームページより)】
宅地防災
宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)施行に伴う基礎調査
令和3年、静岡県熱海市で盛土が崩落し、大規模な被害が発生したことを契機として、「宅地造成等規制法」が抜本的に見直され、全国一律の基準で盛土を規制する「宅地造成及び特定盛土等規制法(以下、盛土規制法という)」が施行されました。弊社では、令和5年に施行された「盛土規制法」に基づく基礎調査の技術支援を行っております。
調査内容
- ① 規制区域の指定:国土交通省のガイドラインに基づき「宅地造成等工事規制区域」及び「特定盛土等規制区域」の指定を行います。弊社では、GISを用いて既存の規制区域や地形条件等を総合的に検討し、お客様と打合せの上、最適な区域指定案をご提案いたします。
- ② 既存盛土等調査:指定した区域内における既存盛土等の範囲を各種の地図情報を元にGISやCADを用いて検討し抽出します。抽出した盛土等については法令許可等の確認を行い、現地踏査を実施の上、安全性把握調査の優先度評価を行います。弊社では、その後の安全性把握調査や、経過観察についてもお客様のご要望に応じてご提案いたします。
宅地耐震化推進事業(大規模盛土造成地の変動予測調査)
大規模盛土造成地の変動予測調査は、国土交通省のガイドラインに基づいて、全国の自治体で進められてきました。今後は、各自治体で第二次スクリーニング計画に基づく安全性把握調査を実施し、その結果を踏まえて、慎重にその後の対応を検討していく必要があります。
弊社は全国の自治体で大規模盛土造成地の変動予測調査を行ってきた経験と実績をもとに、お客様にとって最適な調査計画および手法をご提案し、大規模盛土の調査から管理までを総合的にご支援いたします。
支援内容
- ① 第二次スクリーニング:ボーリング調査や土質試験結果から安定計算を行い、地形や盛土形状等を考慮した総合的判断により、盛土の安全性を確認します。滑動崩落のおそれがある盛土については対策工法の検討を行います。
- ② 経過観察:盛土や構造物に対して定期的に定点観測を行い、変状の進行や新たな異常箇所を確認します。経過観察は現地踏査を基本としておりますが、計測技術を駆使した監視点設置観測や三次元点群データによる変位判読など、より詳細な観測手法もご用意しております。
再生計画
修復型まちづくり
平成28年の糸魚川市において発生した大規模火災は、昭和初期に建築された商店街や木造住宅の密集地域で起きたこと、また強い南風により日本海方向へ延焼したことなど、さまざまな要因が重なり甚大な被害を生じました。
こうした密集市街地は、古い木造住宅が密集しているため隣同士との隙間がないほか、狭あい道路が多いため、緊急車両等が入れない消防活動困難区域でもあり、特に「燃え広がりやすいまち」となっています。そのため、道路の拡幅整備や公園整備、不燃建築物等への建替え、電線類等の地中化、現在の生活を継続させる受け皿等の整備により、地域の歴史や景観などの特性は保全しながらも、火災による延焼(危険度)を下げることが急務です。
また、高齢化等に伴い所有者自らの建替えが困難な場合に対しては、土地区画整理事業の立体換地制度を活用するなど、多様な制度等を導入し、ハード面とソフト面の両面をサポートする必要があると考えます。地域住民にとって、住み続けることができ、少しでも負担等を抑えた再編に取組むことが重要です。
弊社では、空間情報等から消防活動困難区域を特定し、また火災延焼シミュレーションにより避難場所を設定する等、良好な市街地形成に向けた地区計画によるルールづくりを推進しているほか、延焼遮断地帯の機能を担う都市計画道路の整備、及びそれに係る生活再建支援等、総合的なサポートに取組んでいます。
密集市街地の住民は問題を認識しているものの、現在の生活に支障をきたしていないことに加え、移転等に伴う負担を不安視するため、なかなか地域の改善が進みません。
弊社では、整備前と整備後の比較を、航空写真等を活用した具体的で視覚的な情報として発信することや、生活再建への選択肢を提示し、地域住民が改善後の生活をイメージできるよう取組むことこそが、改善への第一歩と捉えています。地域住民の方々が抱える悩みはそれぞれ異なるため、個々の悩みを的確に把握しきめ細やかなサポートを心がけています。
地域特性や地域が抱えるまちづくりの課題に応じて、上記のような視点や取組みを柔軟に適用し、「都市のスポンジ化の解消や密集市街地の改善に対応した柔らかい区画整理」、「大規模公営住宅建替えに伴う創出用地における都市機能導入」といった修復型のまちづくりに取り組んでいます。

【密集市街地の整備イメージ】
出典:国土交通省白書2016 第Ⅱ部 国土交通行政の動向 第7章 安全・安心社会の構築
第2節 自然災害対策 2災害に強い安全な国土づくり・危機管理に備えた体制の充実強化
復興
弊社では阪神淡路大震災や東日本大震災等において、様々な被災者支援事業を事業施行者等と連携し取組んできました。復旧・復興への支援等では、被災者の生活再建を第一に考え、現地に技術者を派遣しチームを結成することで、柔軟かつ迅速な対応ができ不測の事態にも対応できるように復興のお手伝いをさせて頂きました。
国土交通省では、「復興まちづくりのための事前準備ガイドライン(2018年7月24日)」が、その後復興まちづくりの目標や実施方針を検討し、事前復興まちづくり計画を策定することに焦点をあてた「事前復興まちづくり計画検討のためのガイドライン(2023年7月」が策定され、防災・減災対策を並行して事前に被災後の復興まちづくりを考えながら準備しておく復興事前準備の取組を進めておくことが重要として、市町村が早期かつ的確な市街地復興のための事前準備に取り組むための内容・留意点がまとめられました。
弊社でも、過去の震災復興の経験・東日本大震災での復興まちづくりの経験と得られた教訓を踏まえ、“復興事前準備のススメ”を提案しております。被災後の早期かつ的確な復興まちづくりを可能とするためには、平時からの準備が必要となります。特に、復興事業期間中は日々の被災者状況の変化や制度・諸条件の見直し等、柔軟な対応が求められることが多く、復興事業の変化を現地で経験した弊社技術者の被災者対応が重要になるものと考え、被災者に寄り添った“復興事前準備”のご提案を致します。


