事業紹介防災

将来の災害に対して、最大限の備えを。

2011年の東日本大震災や、2016年の熊本地震、2018年の胆振東部地震など、日本は相次ぐ大地震によって壊滅的な被害を受けてきました。
そうした中、“首都直下型地震”や“南海・東南海トラフ地震”の発生は、今や切迫した状況と言われています。さらには地震だけでなく、ゲリラ豪雨や線状降水帯がもたらす大雨による豪雨災害や、それに伴う土砂崩れ、火山災害、雪害、大規模火事災害など未曾有の危機にさらされているのが、今の日本の現状です。
弊社は、社会資本整備に携わるコンサルタントとして、培ったノウハウ等を最大限に活かし、防災・減災に努め、国民が安全且つ安心して生活できる環境づくりに尽力するため、有事に備えた計画のご提案や各発注者様と災害協定を締結し、一日でも早い復旧・復興支援を行って参ります。

防災計画

近年激甚化する自然災害に対して、地方自治体では地域防災計画に基づいた対応が定められています。しかし、生活環境や社会経済状況等により絶えず流動的なものであるため、その変化に応じた安全・安心な生活環境を日々探求する必要がある、と私たちは考えます。
弊社では常日頃から防災及び減災対策等に係る調査や、住環境改善等の市街地整備に取組んでおり、生活環境の変化を見逃さずに地域事情に即した提案・支援を進めています。
震災後の災害対策関連法案の見直しや、首都直下型地震等の被害想定の公表などの防災対策の幅広い分野における動きを踏まえ、弊社では地域防災計画(修正)や国土強靭化地域計画策定業務に取組んでいます。対象となる地域の概況や特性を整理し、リスクシナリオを想定した上で脆弱性の洗い出しや評価を行い、対策を検討します。作成した素案に対しパブリックコメント等住民視点を反映させ、さらに地域性に合わせた計画にしていきます。
また、防災セミナーの開催や浸水想定区域図や液状化メッシュデータ等地理空間情報技術を用いたハザードマップ作成も行い、地域住民への啓蒙活動にも取組んでいます。
藤沢市の業務では、ハザードマップに加え災害に備えて準備しておくものや、災害発生時または発生後にどのような行動を取るべきか等をまとめた小冊子「ふじさわ防災ナビ」を作成しました。視覚的にわかりやすいレイアウトを検討し、内容が音声で再生される音声コード(ユニボイス)を添付することで誰でも同じ情報を入手できるようにしました。これらは市民に配布されたほか、ホームページでも閲覧できるため必要な際にいつでも防災関連情報を確認できます。

  • 液状化メッシュデータ

    【液状化メッシュデータ】

  • 浸水想定区域図

    【浸水想定区域図】

https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/bousai/bosai/bosai/yobo/bosainavi.html【ふじさわ防災ナビ(藤沢市ホームページより)】

実績紹介:防災

避難場所検討

弊社では、震災時火災から、生命を守るため、広域避難場所や避難圏域、避難道路の検討業務を、空間情報コンサルタント技術を活用して、東京都(特別区)をはじめとして政令指定都市などで行ってきました。

避難場所及び避難道路の検討に、弊社のGIS技術を役立て、ある地区ではどのくらいの方がお住まいなのか、またある地区ではどのくらい不燃化率が進んでいるのかなどを勘案し、調査を行っています。
また火災の燃え広がり方をシミュレートする火災延焼シミュレーションでは、「延焼遮断地帯の整備と効果」「緊急輸送道路の安全性の確認」「避難場所の安全性の評価」「木造住宅密集地域の不燃化の効果」にも活用しています。

【避難計画フロー】
避難計画フロー

リーフレット ★大地震火災に備えて★

輻射熱シミュレーション(浜田理論

【輻射熱シミュレーション(浜田理論)】

火災延焼シミュレーション

【火災延焼シミュレーション】

宅地耐震化

平成7年の阪神・淡路大震災、平成16年の新潟県中越地震、平成23年の東日本大震災等では、盛土造成を行った宅地で滑動崩落(地震発生時に盛土の全体や一部が斜面下部方向に地滑りのように移動・崩落すること)が発生し、多くの住宅や公共施設に被害が発生しました。国土交通省ではこうした被害を防ぐため、平成18年に宅地耐震化事業を開始し、大規模盛土造成地の変動予測調査を進めています。

大規模盛土造成地の変動予測調査

  1. ①大規模盛土造成地の位置と規模の把握(第一次スクリーニング) 大規模盛土造成地の変動予測調査では、第一次スクリーニングとして、大規模盛土造成地の位置を抽出します。造成前の地形が分かる資料(旧版地形図や旧版空中写真)と、最新の地形図(標高)データを用意します。造成前・造成後の地形データを取得後、三次元差分計算を行って、造成後の標高が造成前の標高を上回っている範囲を求めることで、盛土の範囲を把握することができます。国土交通省のガイドラインによって定められた以上の規模を持ち、現況が宅地である盛土は、大規模盛土造成地であると判断されます。
  2. ②大規模盛土造成地マップの作成 大規模盛土の位置を示したマップ及び大規模盛土調査の経緯・Q&Aをわかりやすく示したパンフレットを作成し、自治体様のホームページで公表することにより、住民の方々の防災意識の啓発に役立てています。
  1. ③第二次スクリーニングの計画と実施 抽出した盛土について、第二次スクリーニングの計画として、詳細な現地踏査を行い擁壁や法面、盛土上の路面の状態などを調査し、所定の様式にまとめます。地盤調査が必要であると判断された場合は、オートマチックラムサウンディングや地下水調査等の簡易地盤調査を行い、さらに必要に応じて第二次スクリーニングとしての本格的なボーリング調査や土質試験等を行います。こうして得られた地盤情報をもとに安定計算を行い、滑動崩落のおそれがある大規模盛土造成地を抽出します。調査結果は宅造法第20条第1項に基づく造成宅地防災区域の指定や、滑動崩落防止工事を行うための基礎資料として活用できます。
オートマチックラムサウンディングによる地質調査の様子

【オートマチックラムサウンディングによる地質調査の様子】

  1. ④造成宅地防災区域の指定・活動崩落防止工事の実施 弊社は、測量から設計までを行う総合建設コンサルタントです。その広い事業領域から、第一次スクリーニングをはじめとして、第二次スクリーニング計画の現地踏査、簡易ボーリング、そして第二次スクリーニングまで、大規模盛土調査の工程を一貫して行うことができます。第一次スクリーニングにおいては、長年培ってきた空中写真測量の技術を活かし、最新及び過去の空中写真等から標高データを作成しています。一方、三次元差分計算には直接差分法を採用し、従来のメッシュ法より明確に盛土の境界や形状、厚さを把握することができるほか、規模の小さな盛土の抽出にも寄与しています。
    弊社の大規模盛土調査は、これまでに多くの自治体様からご依頼をいただいております。
【大規模盛土造成地の変動予測調査の流れ】
大規模盛土造成地の変動予測調査の流れ

実績紹介:宅地耐震化

密集市街地対策

平成28年の糸魚川市において発生した大規模火災は、昭和初期に建築された商店街や木造住宅の密集地域で起きたこと、また強い南風により日本海方向へ延焼したことなど、さまざまな要因が重なり甚大な被害を生じました。
こうした密集市街地は、古い木造住宅が密集しているため隣同士との隙間がないほか、狭あい道路が多いため、緊急車両等が入れない消防活動困難区域でもあり、特に「燃え広がりやすいまち」となっています。そのため、道路の拡幅整備や公園整備、不燃建築物等への建替え、電線類等の地中化、現在の生活を継続させる受け皿等の整備により、地域の歴史や景観などの特性は保全しながらも、火災による延焼(危険度)を下げることが急務です。
また、高齢化等に伴い所有者自らの建替えが困難な場合に対しては、土地区画整理事業の立体換地制度を活用するなど、多様な制度等を導入し、ハード面とソフト面の両面をサポートする必要があると考えます。地域住民にとって、住み続けることができ、少しでも負担等を抑えた再編に取組むことが重要です。

弊社では、空間情報等から消防活動困難区域を特定し、また火災延焼シミュレーションにより避難場所を設定する等、良好な市街地形成に向けた地区計画によるルールづくりを推進しているほか、延焼遮断地帯の機能を担う都市計画道路の整備、及びそれに係る生活再建支援等、総合的なサポートに取組んでいます。
密集市街地の住民は問題を認識しているものの、現在の生活に支障をきたしていないことに加え、移転等に伴う負担を不安視するため、なかなか地域の改善が進みません。
弊社では、整備前と整備後の比較を、航空写真等を活用した具体的で視覚的な情報として発信することや、生活再建への選択肢を提示し、地域住民が改善後の生活をイメージできるよう取組むことこそが、改善への第一歩と捉えています。地域住民の方々が抱える悩みはそれぞれ異なるため、個々の悩みを的確に把握しきめ細やかなサポートを心がけています。

密集市街地の整備イメージ

【密集市街地の整備イメージ】

出典:国土交通省白書2016 第Ⅱ部 国土交通行政の動向 第7章 安全・安心社会の構築
第2節 自然災害対策 2災害に強い安全な国土づくり・危機管理に備えた体制の充実強化

復興事業

弊社では阪神淡路大震災や東日本大震災等において、様々な被災者支援事業を事業施行者等と連携し取組んできました。復旧・復興への支援等では、被災者の生活再建を第一に考え、現地に技術者を派遣しチームを結成することで、柔軟かつ迅速な対応ができ不測の事態にも対応できるように復興のお手伝いをさせて頂きました。

復興事前準備への業務提案

復興事前準備への業務提案

国土交通省では、「復興まちづくりのための事前準備ガイドライン(2018年7月24日)」が策定され、防災・減災対策を並行して事前に被災後の復興まちづくりを考えながら準備しておく復興事前準備の取組を進めておくことが重要として、市町村が早期かつ的確な市街地復興のための事前準備に取り組むための内容・留意点がまとめられました。
弊社でも、「復興まちづくりのための事前準備ガイドライン」に基づき、過去の震災復興の経験・東日本大震災での復興まちづくりの経験と得られた教訓を踏まえ、“復興事前準備のススメ”を提案しております。特に、復興事業期間中は日々の被災者状況の変化や制度・諸条件の見直し等、柔軟な対応が求められることが多く、復興事業の変化を現地で経験した八州技術者の被災者対応が重要になるものと考え、被災者に寄り添った“復興事前準備”のご提案を致します。

実績紹介:復興事業