事業紹介水中音響3Dスキャニングソナー

水中音響3Dスキャニングソナーによる水中調査

【点群イメージ】

【点群イメージ】

弊社では、水中の構造物や地形を三次元的に取得する水中音響3Dスキャニングソナー「BV5000」(Teledyne BlueView社製)を活用しています。

通常、作業船の航行が困難な場所の調査は、潜水士による調査が一般的ですが、費用や安全面、精度等に課題があり、調査可能範囲も限られています。
この測量機器は、ソナーヘッドを専用の三脚に取り付け、三脚ごと水中に沈めて観測を行います。
256本(1°×1°)の音響ビームを扇状に発射することにより、周囲360°の3次元ポイントクラウド(点群)を短時間で取得することができます。橋脚やダムの洗掘調査、水門など河川構造物の堆砂状況調査のほか、水中物体探査にも利用することができます。

特徴

水中音響3Dスキャニングソナー
Teledyne BlueView社製「BV5000-1350-N」

【仕様】
  • 発信周波数:1350kHz
  • 視野角:42°×1°(扇状)
  • 最大計測距離:30m
  • 最適計測距離:1m~20m
  • 耐圧:1,000m
  • ビーム数:256本
  • ビーム幅:1°×1°
  • ビーム間隔:0.18°
  • レンジ分解能:1.5cm
【特徴】
  • 比較的浅く・狭い範囲の計測
  • パン(左右)チルト(上下)回転により上下左右の全周囲に向けて音波を発信
  • 周囲360度、最大30mまでの3次元点群データ取得可能
  • 隅角部や消波ブロック、桟橋など複雑で立体的な構造物の形状を計測可能
  • 水中の濁りの影響を受けにくい

船舶からのナローマルチビームソナーによる観測では把握が困難だった漁礁や港湾施設(桟橋下、暗礁、消波ブロック)等の複雑な構造を、3次元点群データとして詳細に計測することができます。なお、音波により計測を行うため、水中の汚れの影響を受けにくく、濁水中での調査・計測にも適しています。

また、水中音響3Dスキャニングソナーは海底や河床の地形、構造物・諸施設の水中部(底盤、基礎部等)の状況を計測する音響機器として一般的であり、広範囲を効率的かつ立体的に計測できます。そのため継続的な計測により河川や排水機場の堆積土砂量や掘削量の把握ができ、浚渫工事の際にも有効です。
なお、有線で接続されたノートPCにて計測された生データがその場で見れますので、現場にて状況を視覚的に確認することができます。

計測の目的・計測箇所の条件に合わせて、三脚の他にROV(遠隔操作型無人潜水機)やフラットプレート、ポール等をプラットフォームとして使用することも可能です。また、ナローマルチビームソナーや地上レーザースキャナのデータと合成し、一体的に可視化することができます。

水中音響3Dスキャニングソナーの活用例

1.沈砂池における堆砂量調査

ダムや排水機場などの沈砂池において、水中音響3Dスキャニングソナーにより底面を観測することで、砂や泥の堆積状況を計測し、構造図などとの差分から堆砂量を算出することができます。これにより、砂や泥を除去するための排出運搬計画や定期観測による堆積量の予測を容易に行うことができます。

排水機場沈砂池における堆砂量調査

  • 水中音響3Dスキャニングソナーの設置箇所

    【水中音響3Dスキャニングソナーの
    設置箇所 

  • 地上レーザ計測との合成データ

    【地上レーザ計測との合成データ】

構造図との比較

【構造図との比較】

また、沈砂池の断面図から底面のサーフェスモデルを作成し、点群とサーフェスモデルを比較することによって、堆積状況を可視化することができます。

  • サーフェスモデルと点群データの比較

    【サーフェスモデルと点群データの比較】

  • 土量の算出

    【土量の算出】

2.変状調査

(1)洗掘調査

【洗掘状況】

【洗掘状況】

水中音響3Dスキャニングソナーで水中の構造物周辺を計測することにより、洗掘状況の調査を行うことができます。 【洗掘状況】の画像から構造物の根元に洗掘が発生し、基礎が剥き出しになっていることが確認できます。
橋脚等では、洗掘が進むことにより地盤面の陥没や基礎部の露出が起こり、傾斜・倒壊するおそれがあるため、定期的に調査・点検を実施することが重要です。

(2)たわみ変状調査

水中音響3Dスキャニングソナーで、護岸などの矢板の変状を調査することができます。護岸付近の形状をデータ取得することにより、たわみを視覚的に確認でき、専門家への相談・対策データ資料として利用が可能です。
【たわみ発生箇所】の画像のように、矢板部分を真上から見るとたわみが確認できます。

  • 調査箇所

    【調査箇所】

  • たわみ発生箇所

    【たわみ発生箇所】

3.水中調査

【海中廃棄物調査】

【海中廃棄物調査】

(1)廃棄物調査

水中音響3Dスキャニングソナーを利用して河川や湖沼、海中の廃棄物・沈船や流木等の障害物の把握ができます。
潜水士による調査と比較して、短時間で広い範囲の廃棄物・沈船や流木等の状態が把握できるだけでなく、距離・長さ・形状を点群データ上で測定できることから引き上げ計画の検討データとして活用が可能です。

【捨石分布調査】

【捨石分布調査】

(2)捨石分布調査・消波ブロック分布調査

水中音響3Dスキャニングソナーを利用して港湾内の捨石の分布状況および大きさ、消波ブロックの海中における配置状況を調査することができ、防波堤の維持管理に役立てることができます。